2026年、学術誌『Organization Science』に、AIと知識労働に関する研究が掲載されました。

参加したのは、Boston Consulting Groupに所属する758人のコンサルタントです。AIを使わないグループと、GPT-4を使うグループに分かれ、実際のコンサルティング業務に近い課題へ取り組みました。
課題の一つは、新商品のアイデアを考える、文章を作る、情報を分析するといった、GPT-4が力を発揮しやすい仕事です。
この課題では、GPT-4を使った人が完了した課題数は12.2%増え、作業時間は25.1%短くなり、仕事の品質も向上しました。
一方、研究では別の難しい課題も用意されました。
複数のインタビューと財務データを読み、どのブランドに最も成長の可能性があるかを判断し、経営者へ提案する課題です。情報を一つずつ読むだけでなく、複数の内容を照らし合わせ、最終的に正しい結論を選ぶ必要がありました。
この難しい課題では、AIを使わなかったグループの正解率が84.5%だったのに対し、GPT-4を使ったグループは60%と70.6%でした。平均すると、AIを使った人の正解率は約19ポイント低くなりました。
さらに興味深い結果があります。
GPT-4を使って作られた回答は、結論が間違っている場合でも、理由が整理され、文章に一貫性があり、説得力が高く評価されました。つまり、間違った答えが、正しい答えのように分かりやすくまとめられていたのです。
そのため、使う人が誤りに気づかず、AIの結論を採用しやすくなりました。
研究者は、AIの得意・不得意を分ける境目を「ギザギザした技術的フロンティア」と呼んでいます。
AIの能力は、簡単な仕事ならすべてでき、難しい仕事になるとできなくなる、という順番では分かれていません。同じコンサルティング業務の中でも、新商品の企画では高い力を発揮し、複数の資料から正しい戦略を選ぶ課題では誤った結論を出すことがあります。
しかも、その得意・不得意は外から見ただけでは分かりにくく、AIの進化によって変わり続けます。
だからAIを使う人には、操作技術に加えて、どの仕事をAIへ任せるかを決める力、出された答えの根拠を確認する力、誤りを見つける力、採用・修正・却下を判断する力が必要です。
同じAIを使っても、成果は同じになりません。必要な情報を頭に保ち、抜けや矛盾を見つけ、複数の案を比較し、整った文章の中にある誤りを退けられるか。AIの成果は、それを扱う人の脳の能力で変わります。
判断の質は、整え、上げることができます。
BCP利用者の2026年9月までの集計では、プログラム後に60%が判断力の向上を回答しました。複雑な問題を順序立てて整理しやすくなった、選択肢への迷いが減った、決断までの時間が短くなったという変化が表れています。
半年後、AIが人から一つずつ指示を受けなくても複数の仕事を進め、AI開発にも加わる段階へ進んだとき、人間に求められる判断の量、質、速度はさらに高まります。
その環境では、一体どれほどの判断力が必要となり、それを続けることで、どれほどの脳疲労が起きるのか。想像を超える可能性があります。
その未来に備え、今のうちから判断を担う脳のために、できることを目一杯やる必要があります。
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