
新しい案を思いつくには、十分に考えた後、その問題からいったん離れる時間が役立つことが分かっています。
机に向かって考え続けていたときには浮かばなかった案が、散歩中や入浴中に突然浮かぶ。そんなときにも、脳は記憶や経験を使っています。
記憶を取り出し、頭の中でさまざまな場面を思い描く働きに関わるのが、第1回で紹介したデフォルトモードネットワーク(DMN)です。目の前の資料から注意が離れると、考えている間には選ばれなかった記憶や経験が浮かび、新しい組み合わせが生まれます。
では、問題から離れる時間によって、アイデアは実際に変わるのでしょうか。
2012年、米国の研究チームは、参加者に日用品の変わった使い方を考えてもらいました。その後、難しい課題、簡単な課題、休息、休憩なしという四つの条件に分け、再び同じ日用品の使い方を考えてもらいました。
案の独創性が最も大きく向上したのは、簡単な課題を挟んだグループでした。このグループでは、課題と関係のないことが自然に頭へ浮かぶ時間も多く報告されました。
問題をいったん置き、別の時間を過ごしてから戻ることで、解決が進む現象を「インキュベーション」と呼びます。
この時間の過ごし方にも条件があります。
2009年に複数の研究をまとめた分析では、問題から離れている間に難しい作業を行うと、インキュベーションの効果が小さくなっていました。
企画を考える手を止めても、すぐにメールを読み、別の案件を判断すれば、脳は次の仕事に集中します。それではインキュベーション効果は小さい。
一旦完全に離れ、散歩や入浴、慣れた家事など、複雑な判断を続けずに過ごせる時間を取り、インキュベーションが起きる時間を作りましょう!
ここで問題になるのが、仕事から頭を切り替えられない状態です。
寝床に入っても仕事について考え続ける。休日に十分な睡眠時間を確保しても、週明けに頭がすっきりしない。
そんな方々が多くいらっしゃいます。
予定を空けても頭の中で仕事が続いていれば、アイデアを育てるためのリラックスした時間を持てません。
BCPでは、骨軸調整によって脳にかかる物理的な負荷へ働きかけ、休息へ切り替わるためのコンディションを整えることを目指しています。
本人アンケートでは、初回に「起きても頭がすっきりしない」という悩みがあった11名のうち、8名、72.7%で、最新回答の悩みの点数が下がりました。
安静時の施術前後を比較した参考集計では、7名中6名、85.7%で、心拍間隔のゆらぎを表すRMSSDが上昇しました。本人が感じる休息の変化とともに、測定当日の身体反応にも変化が表れています。
実際、アイデアが出るようになった!との声も多くいただきます。
企画を作る工程に、考える時間、頭をゆるめる時間、戻って案を仕上げる時間を入れる。
何もしない時間も、アイデアを生み出す仕事の一部なのです。
次回はアイデアの最終回。アイデアを広げるポジティブな気分と、その気分にも関わる腸の状態についてお伝えします。

